もう一つの萩往還の話

 これは別の観点(自分の体調面)からまとめたものである。
猛暑の中のハードな歩きなので、自分の体調管理に気をつけることにした。山道も多い。人がいないし、
携帯もつながらないかもしれない。そんなところで日射病や熱中症になれば命にかかわる。私は、
若いときに無理をしてよく失敗しているので、ことさら注意が必要である。そこで、今回は体温計を持ち
歩き、休憩時に体温をモニターし39℃を越えたらこの挑戦を断念することを自分に言い聞かせて歩くこと
にした。

 8/3は、時おり強い雨が降る最悪の日であった。雨宿りをしていたが、待ちきれず雨の中を飛び出した。
三段重ねの折りたたみの小さな傘のため、ズボンや靴はびっしょりである。靴下を
2枚重ねで履いていたが
内側まで湿ってしまった。足がふやけるとマメが出来やすくなるので注意が必要だ。一日目はそんな天気
なので、日差しは弱い。しかし、湿度が
100%に近いせいか、かいた汗が蒸発せず、シャツやズボンが
汗だくである。汗が体温調節している最大の理由は水の蒸発潜熱にある。つまり、汗をかいただけでは
ダメで、それが蒸発するときに体を冷やす効果があらわれる。そういう意味では、この天気は最悪である。

一日目の状況

 時刻

体温(脈拍)

備考

8/3起床時

7:20

35.6

66

前日忙しく大変疲れていた。3:305:30に目が覚める。自分がコンプライアンス違反をしている夢を見る。何か嫌な気持ちだ。疲れが抜けきらず体がだるい。

小野田出発時

9:38

36.3

 

防府天満宮

13:05

36.9

90

起点の御船倉跡を出て1時間。すでに、足に疲れが出始めている。  
昼食(おにぎり
2個)

夕食後

21:00

37.2

100

ビールを飲んだせいか、心臓がドキドキしている。体中が疲れて、とくに足の筋肉が火照っている。左足のふくらはぎが痛い。小指にマメができるのをかばって歩いたせいか?

(行動記録)

防府駅(10:30)−(18:30)ホテルサンルート (実質歩行時間7時間:約27km

 一日目は楽勝と思っていたが大変疲れた。二日目のことを考えると不安がよぎる。

風呂後に足の治療。左足のマメの水疱をつぶして皮膚を癒着させようとする。明日の朝までに間に合うか?

 

8/4も湿った空気が残り、曇りがちという予報であったが、朝は、まずまずの天気であった。
夜は、まあまあ眠れただろうか。昨日は左足のふくらはぎが痛かったが、今日はそれほど
でもない。

出発後、ルートを離れて一の坂川や香山公園などを散策し、おまけにダムでは30分ほど
回り道をしてしまったので、相当無駄な時間を費やしてしまった(このあたりは本編で
詳しく述べる予定)。本来のルートは約
30kmくらいであろうが、この日、35km(いや心情的
には
40km)は歩いている。山道も多く、樹林帯の中では日差しは遮られるが、アップダウンが
相当きつかった。萩に近づいてからがまた地獄だった。足にマメができ、歩く速度が極端に
落ちた。さらに萩市街地では道に迷い、普段は冷静な私がパニックになってしまった。
それほどまでにつらかったということであろうか。
(実は、地図にはない道が作られており、そこに行ってしまったのが原因)

朝食はサンドイッチと野菜ジュース。昼はメロンパンと水のみ。約12時間、長い休憩でも
10
分程とっただけでひたすら歩いていた。最大の難所の板堂峠(標高500mくらい)では
貧血のような状態になり、自分でもやばいと思った。目の前がチカチカしはじめ、景色の
コントラストが強くなって少しの光でもまぶしかった。体が弱かった子供の頃、このまま
倒れていたようなことを思いだす。低酸素状態になったのだろうか、それとも低血糖状態
になったのだろうか。お昼より少し早いが、限界を感じたので、昼食のメロンパンをほお
ばった。不思議なもので、気持ちが少し楽になった。

二日目の状況

 時刻

体温(脈拍)

備考

8/4起床時

6:40

35.8

60

ぐっすりとはいえないが、眠ることが出来た。2時半頃にのどが渇いたので、CCレモンを買って飲む。前日の疲れは取れているようだ。マメは完全には癒着していないが、今日は根性だ!

六軒茶屋跡

10:40

36.9

104

出発してから3時間経っている。急登が続き、きつかったので、相当汗をかいている。

防長国境

11:25

36.9

板堂峠を越えて、このころ限界を感じていた。

貧血のときの状態であったが、腰をおろすと我に戻った。

メロンパンの昼食で復活。(休憩10分で出発)

千持峠の休憩所(1:45

37.7

130

暑くなってきた。それほどきつい上りではなかったが、風がなく、体に熱がこもっている感じ。体温も急上昇中。

七賢堂展望台

2:35

37.5

120

ここまで炎天下のアスファルトの道を少し歩いてきた。欲望に勝てず、峠の自販機でダイエットコーラを一気飲みしてしまった。汗が吹き出たが、少し楽になった気がする。

鹿背坂の休憩所(4:35

38.1

104

2時間休憩なしに歩いてきた。ようやく最後の峠に。日差しはないが、樹林帯の中なので風がなく、体に熱がこもる。そろそろ体の限界を感じる。

東萩駅(19:50)

37.2

萩市内がきつかったが、ここから列車に乗って小野田に帰る。

今日は、水分を3〜4L近く摂ったような気がする。

もう足を引きずるようにしないと歩けない。

(行動記録)

ホテルサンルート(7:30)−(19:25)東萩駅 (実質歩行時間11時間:約35km

総踏破距離、約65km。しかも真夏に踏破したことは特筆すべきことである(自己満足)。

  

・体温をモニターする行動について

  どうしても無理をする性格なので、体温をモニターするという行為で自分自身を律する
ことにした。おかげで、無理をせずにすんだが、逆に言うとこういうことをしなければなら
ない自分が情けない。山でも撤退する勇気が問われることがある。人は調子がよいときには、
何も考えなくなる。そしてその勢いが失速するといつか失敗する。(ギャンブルに依存する
人も同じような傾向であろうか。私も、あれほど熱中していたパチンコやマージャンは、
もうしたいとも思わない。関係ないか。)

  それはともかく、人間は恒温動物と思っていたが、寝起きと活動しているときにこれほど
の差があるというのは驚きである。ただ、体温が
38℃くらいになると、相当へばってくるの
を実感する。熱中症は意外と身近に潜んでいるかもしれない。

 ・天候について

  今回、台風後ということで、爽やかな天気を期待していたが、コースが北よりになった
ため、湿った空気が入り込み、台風後も強い雨が断続的に降った。湿度が高く、不快な環境
であったが、日射病にはならなかった。一日目のコースは一般道路が多く、その点は幸いで
あった。たまたま、こういう天気でよかったが、もしカンカン照りであれば、相当きつかった
と思われる。この時期に、このようなことを計画したことにも無理があったかもしれない。
(たぶん、今回完歩できたことはラッキーと思うべき)

 ・体重について

  出発前に測った体重が○○.2kg。ダイエットに成功した最低ラインから5kg近く増えている。
これは先週に大阪に帰ったことが大いに影響している。人間ドックに備え、頑張っていたのに、
家族の前では緊張感が解けてしまう(約
2.5kgの増加)。

  今回、歩いた後に計量すると、××.1kg。たった2.1kgの減量か。思ったほど減っていない。
水分をガバガバ摂ったせいだろうか。体脂肪率は
16.3%、こちらは、これまでの最低の数字に
なったようだ。そういえば、学生の頃に山から下りてきた時は、
55kgくらいだったと記憶して
いる。もうあの頃とは、もう違う体になってしまったのであろう。

足のマメについて (←足にできたマメの記録です。勇気ある方はここをクリックしてください。

 

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